リーマン・ブラザーズの疑惑

しばらく日記をさぼってしまいました。
株式市場は54年ぶりに12営業日連続の下落となりましたが、日本というより海外の方がまずいですね。3月から6月の実態経済の悪化する局面を利下げと債務保証で乗り切ろうとしたつけが回ってきています。実態価値の下落局面での、通貨流通量の増大は、インフレを招くだけです。
実態経済に合わせて貨幣も減らしていかないとモノの価値とお金の価値が釣り合いません。しかも、経済がグローバル化した現在は、米国が通貨を吐き出すとECBが利下げしないでも、世界中に影響を与えて、オイル価格を通してグローバルでのインフレ、それによる弱者切り捨て(ベトナム、タイ、インドネシア、インドなど)を招いています。Fedは利下げというカードを使い切りました。本当の危機はこれからです。

【米経済コラム】リーマンの資産売却、株主には謎だらけ−J・ワイル
2008-07-03 14:47:37.40 (New York)


【コラムニスト:Jonathan Weil】
  7月3日(ブルームバーグ):あなたが米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの幹部で第2のベアー・スターンズになることを回避しようと必死だとしよう。株価は急落し誰もがあなたの会社のバランスシートの状態を疑っている。そんなとき取るべき行動は何だろうか。絶対に避けるべきなのは、財務健全性をめぐる不透明感を不必要に高めることだろう。投資家が最も恐れるのは分からないという状態だからだ。

  リーマンがしたのは、数十億ドルの資産を新設のヘッジファンドに売却することだった。どのようなヘッジファンドかというと、
  1)リーマンが大口投資家である。
  2)最近退社した7人の元リーマン幹部が運営している。
  3)リーマンのオフィスの一角に事務所がある。

  これだけ聞けば、リーマンとこのヘッジファンド、R3キャピタル・パートナーズとの関係について疑問を抱くには十分だろう。両社の取引が、両社が言っている通りの「独立当事者間」なのかどうか、外部者が知る術は全くない。リーマンが今一番避けるべきなのは、疑い深い投資家に「関係当事者間取引」の疑念を抱かせることなのだが。

  リーマンはR3との取引について多くの情報を開示していない。米証券取引委員会(SEC)への届け出には同ヘッジファンドについての記載はない。両社の関係についてはブルームバーグ・ニュースの6月18日の記事などで少しずつ明らかになっているだけだ。

事実関係

  事実関係をまとめてみよう。SECへの届け出によると、R3が運用するファンドの1つは6月12日時点で10億8000万ドル(約1145億円)を調達し、さらに40億ドルを募集していた。R3の広報を請け負うFD社のトール・バルドマニス氏によると、リーマンはR3に約10億ドルを投資した。私の書簡での問いに対してR3は、「リーマンは複数の少数出資者の1社」と回答した。リーマンも7月1日に、「R3は独立したファンドでリーマンは少数株を保有する有限責任パートナーだ」と発表した。

  また、リーマンの広報担当者キャサリン・ジョーンズ氏はR3のSECへの届け出に記載されていた10億8000万ドルの投資元がリーマンであるかどうかは明言を控えたが、08年5月以降にR3に約45億ドル相当の資産を売却したことを明らかにした。45億ドルがR3による取得価格なのか、リーマンがバランスシートに記載していた評価額なのかは述べなかった。

  結局、何も分からない。リーマンがR3への資産売却で利益が出たのか損失が出たのかも、R3が幾らで資産を買い取ったのかも、売却がどの四半期の出来事なのかも分からない。たとえ、より多くの情報があったとしても、リーマンとR3の関係は不明瞭だ。もしリーマンのR3の持ち分が20%以上ならば、リーマンはR3の戦略に十分に大きな影響を及ぼすことができると見なされ、従ってR3とリーマンの取引は恐らく関係当事者間ということになるだろう。

知りたいことは

  リーマンに21年在籍したR3のリック・リーダー最高経営責任者(CEO)は私への書簡で、利益の一部は国内外の都市部の教育を振興する基金に寄付すると述べた。結構なことだが、リーマンの株主が知りたいのは、資産売却がリーマンの財務にどう影響するかだ。これがはっきりしない。そうなると、投資家が勝手な結論を導き出すのは避けられない。その結論がリーマンにとって困ったものであっても、これは同社自身の責任だろう。
(ジョナサン・ワイル)