中国と米国の本当の関係

ファニーメイフレディマックから中国と米国の裏側を垣間見れます。物の移動が表だとしたら、お金の移動はその裏側です。

米国は、中国から工業製品を買い、その代金を支払いましたが、中国は受け取ったドルで、米国の不動産ローンを買っていたというわけです。中国が不動産ローンを買ってくれるので、米国民はいつまでも、ローンを低い金利で借りることができたというカラクリです。そのため、米国民は、いつまでも、不動産の値上がり益を享受することができ、それがさらなる個人消費の拡大を促したというわけです。当然、拡大した個人消費は、中国からの工業製品の購入という形に戻ってきます。

しかし、当然ながら、この構図が永久に続くわけありません。サブプライムの崩壊とは、この消費と還流の構図が崩れたことと言ってよいと思います。今後は、米国と中国の持ちつ持たれつの関係が変わってくるというわけです。

そのため、GSEの問題は、米国経済の本質を突いていると思います。結局米国も借金しながら消費を続けていたわけです。その構図は、日本と同じです。日本の国債発行残高は700兆円ですが、米国の住宅ローン残高も1200兆円あるわけです。どちらも借金の形態(海外or国内)が異なるだけで、本質的には同じことです。



【コラム】ファニー債投資は心配無用、中国が「強い味方」−ムカジー
2008-07-15 18:59:03.730 (New York)


【コラムニスト:Andy Mukherjee】
7月15日(ブルームバーグ):米住宅金融投資大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の社債保有者は、わけもなく不安がっている。

  両社債のリスクプレミアム(リスクに見合った上乗せ金利)は5月に拡大し始め、先週までは米証券大手ベアー・スターンズが倒れる直前の水準へと向かっていた。

  両社の株式への投資家は、最終的な救済策が株主の利害にどう影響するかが分からない状態で不安がるのは当然だが、債券保有者の心配は無用だ。なぜなら、債券保有者には中国という強い味方がいるからだ。

  民間投資家はポールソン米財務長官とバーナンキ米連邦準備制度理事会FRB)議長がファニーメイフレディマックを救えるだろうかと不安を抱くかもしれないが、中国はそんな心配はしない。中国が黙って巨額損失を受け入れ、その後も米資産への投資を続けるはずもないからだ。

  中国とロシアを中心に、海外の中央銀行フレディマックファニーメイ債を含む米連邦機関債を少なくとも9250億ドル(約97兆3000億円)相当、保有している。外交問題評議会エコノミスト、ブラッド・セッツァー氏によれば、米公式統計のこの数字が「実際より低いことはほぼ確実」だ。実際はほぼ1兆ドルと同氏は見積もっている。

  いわゆる政府支援機関(GSE)のファニーメイフレディマックは巨大過ぎ、米住宅市場にとって重要過ぎるばかりでなく、中国にとっても重要過ぎるため、「両社の債務が期限通り、額面通りに償還されない」などということが起こり得るわけがないと同氏は話す。

ドル相場

  一部投資家は、ファニーメイフレディマックの救済策は両社債を支えることが目的だとみる。フェデラル・ファイナンシャル・アナリティクスのリポートは、「GSE債は多くの海外中銀が保有しており、ドル相場への鍵となる。短期的にこれを支えることは必須だった」と指摘している。

  中国は何も言わないで、米連邦機関債を買い増している。4月までの1年間では、中国の米連邦機関債保有は670億ドルの純増となり、純増額は前年同期に比べ26%増えた。ベアー・スターンズの救済以来、中国はファニーメイフレディマックが倒れないことへの自信を深めたことだろう。遅かれ早かれ、ポールソン長官とバーナンキ議長が両社への暗黙の政府保証を明示的に示し、信頼の危機を和らげるに違いないと。

  中国から見れば、ポールソン長官の政策発表は理想的な展開だ。フレディマック債のリスクプレミアムは14日に73ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)と、7月10日の94bpから縮小した。スプレッド縮小が続けば中国は価格上昇益で大もうけだ。
(アンディ・ムカジー