外資系金融機関続々撤退

今回のバブルも、銀行による信用拡大が原因であったことが、以下の記事から読み取れます(記事の裏側ですが)。

弊社もリストラは一段落しましたが、単純に元に戻るわけではないと思います。
外資系金融(日興シティ、モルガン・スタンレー)が次々と日本支店を、邦銀に売り払って、日本を撤退していくのは、単純に彼ら財務状況が悪いからというわけでありません。儲かる市場であれば、他をリストラしててでも残ったでしょう。日本は、逆にリストラ対象して選ばれたのです。

日本という市場の魅力が薄れたためでしょう。単純な手数料ビジネスは、野村、大和、MUFJ証券と戦って勝てると思いません。彼らの給料は、外資と比べてはるかに安いですから。

日本を撤退した外資系金融は、有望市場としてどこを選択したのでしょうか?アジアでしょう。この動きは、2003年から変わっていません。今頃、日本のエクイティに入ってきたバークレイズの気持ちはよくわかりません。

                           2009/4/6 No.1740
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今日のNews
日銀が供給したマネーが実体経済に浸透しにくくなっている。銀行の融資を通じてどれだけ経済に出回ったかを示す「信用乗数」は今年2月に 2007年4月以来の低水準となった。日銀は資金供給を急拡大させたが、 中小企業の資金繰りは改善していない。企業業績の悪化を受けて貸し出 しがさらに伸び悩む懸念も強まっている。信用乗数は07年6月から09年 1月までは7.1―7.3倍だった。今年2月は6.9倍に急低下し、約2年ぶりに7倍を割り込んだ。
                日本経済新聞 4月6日

佐々木の視点・考え方
信用乗数とはマネタリー・ベースが1単位増加することで最終的に貸出 しが何単位創出されるかを表す。銀行が他の民間企業と異なり、税金を使ってでも助けるのは、その信用創造機能にある。 
中央銀行である日本銀行が1万円札を100枚刷って市中に流通させた 場合、市中には100万円だけが流通されるのではない。お札を持つAという人が銀行に100万円を預金するとしよう。その百万円を元に、銀行は別のBという人に100万円を貸し出す。Bは百万円を現金で持っているわけも無く、必要なものを買い、Bに売ったCという人がまた銀行の自分の口座に預金する。そのお金を銀行はまた、Dという人に貸し出すのだ。  

この時点の状況をまとめると、Aは百万円の預金を持ち、Cも百万円の 預金を持ち、Dは百万円の現金を持つ。つまり、日本銀行の刷った百万円は、銀行の信用創造によって、3倍の 3百万円のお金に増えて、市中に流通することになった。  この時の信用乗数は3倍ということだ。

銀行は、預金者の不意の引き出しに応じるために、手元に現金通貨や 流動性の高い資産を常にあるていど保有していなければならない。銀行に不良債権増えると、不良債権は買い手がいなくて言い値で売れ ないから、流動性の低い資産だ。不良債権の元手は預金だから、流動性の低い不良債権に見合った流動性の高い資産を不良債権の代わりに 増やさなければいけない。そのために、銀行は流動性の低い企業向け貸出を減らして、流動性の 高い資産に振り換えるのだ。
結果として、銀行資産中の貸出の比率が低下し、銀行の信用創造が不活発になり、経済全体で、信用乗数が低下することになる。

今日の記事は、世の中でこの仕組みが働いていることを表している。